今のご時世、愛煙家は大変な維持費がかかっているそう。
そう、タバコ代。税金も跳ねあがって今ではひと箱約450円程だそう。
”だそう” という表現は、私が人生においてタバコを一度も吸ったことがなく、そしてタバコが嫌いなため。
しかし、師匠は愛煙家―。
意思はすべてに反映する
年々減少し続けている喫煙率。しかしながらまだ成人男性およそ1500万人との統計がある愛煙家たち。(平成26年全国たばこ喫煙者率調査より)
日々のビジネスビジョンの模索中に吐き出される煙もさぞ多い事だろう。
そんな愛煙家たちも、海外のタバコには抵抗がある事も少なくないようだ。
師匠も、日本のタバコをこよなく愛しているので、海外出張の度、免税店を利用する。
一人当たり購入できる物量も決まっている為、自然と私に依頼がかかる。
海外出張の出国の際に、免税店でタバコを2カートン購入し、渡航先での合流時に
渡すというものだ。
正直なところ、ハイ!喜んで!と二つ返事はするものの、手荷物は増えるしタバコが嫌いな理由もあり前向きに気持ちが向いてなかった。
そんなある時期の海外出張時の話。
できるだけ手荷物を減らすため、かばんも小さめなこともあり師匠のタバコは必然と手運びとなった。
出国審査も終わり、免税店で2カートンタバコを購入。
ここで購入するお金は師匠が事前に渡してくれていた。少し多めに。
待ち時間のトイレに行く際も一度荷物を置いて、用を足し、また持って移動する。
だんだんと自分の頭の中の考えが体に現れるように、なぜ師匠も買っているはずのタバコを私も購入する必要があるのだろうかと、扱い方が微々ながら雑になっている事に気が付いた。
失態
窓から眺める綿菓子のようなふわふわの雲。これに乗れたらどれだけ楽しい事ができるだろう。
そんなことをいつも想像しながら窓際の席を楽しむ飛行時間。
4時間ほど飛行して目的地に着いた。
現地の空港には、師匠がいつも迎えに来てくれるので、足早に入国審査を済ませ手荷物を取りに行く。
最後に用を足して空港の待ち合わせ場所へと向かう。
必ずいつも時間通りに来ている師匠。頼りがいがある。
タクシーまで捕まえていてくれて、ホテルまで道中のねぎらいの言葉をかけてくれた。
その時、ある異変に気が付いた。
・・・・手に違和感がある。。。
なんだろう・・・・そう思った矢先、答えはすぐに背筋をピンッと立ち起こさせた。
その大きな動きに師匠が一言。
師匠「どうした??」
スーツマン「タバコがありません・・・・空港までは持っていたことはたしかなんです!・・・・あそこでもあったし・・・・・」
記憶をたどってみると、最後のトイレで用を足して、急いでいたのでスーツケースに手荷物をまとめて入れておこうと、タバコをチョイ置きしたことを思い出すのに時間はかからなかった。
師匠「このやろ~~笑 ええよ大丈夫!きにするな!」
スーツマン「本当にすみません。お金は私の責任ですから出します!」
師匠「おれが頼んでしもた事やしお金もええわ!気遣わせて逆にごめんな・・・。」
タバコ2カートンで約5千円。免税店で購入時の領収証はあった。
師匠はお金の返金は大丈夫との一点張りだったが、私自身、プライドというものが少しながらある。
師匠はすぐに話題を切り替えてくれたが、私は一人で反省をしていた。
なぜ忘れたのか。こんな失態めったにないのに。
思考の転換
ファミリーレストランでの席を立つときもイスの奥までみてからレジへ行くほど、忘れ物には普段から注意をしてきた。
しかし今回は小さな荷物でもなかったのに、完全に忘れ飛んでいた。
おそらく原因は途中の雑念であろう。
そうに違いない。
これがもし、会社の大切な顧客の依頼、または会社で用意した大事な顧客の為のお土産だったら??
薬など、その人にとって海外在住期間、なくてはいけないものだったら??
そう思考が変わった途端、自分のだらしなさに嫌気がさした。
なにもかも頼られるようになるため、こういった雑念が入る所こそ転換をしなければならないと強く感じた。
次来るチャンスが泡とならぬよう、拒み続けた師匠に5千円を渡したことは言うまでもない。
「雑念こそ最大の詰めどころ」
この授業料5千円とした師匠は、はたして計算だったのかは今もわからない。
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