仕事で地方に赴く事はよくあるが、最初は出張がある仕事はやはり大変だなぁと感じていた。
仕事が段々と慣れてくると、住所を離れることも多くなり、まぁ赴任ではないので帰ってこれるが不安な事が多かった。
しかし物は考え様で、今まで出会ってきた方々よりも出会ってない方々の方が圧倒的に多いわけで。
その中でもすれ違わないままの人たちの方が断然多く、出張とは人との出会い、自分を大きくできる旅になる。
と考え始めた時からいろいろな見方が変わった気がする。
今回はとある出張での、師匠の配慮に感銘を受けた話。
営業のノウハウが学べる唐揚げ屋
1日の出張先での仕事が終わり、師匠とホテルで待ち合わせ。
そう、今回は九州で2箇所展示会があり、この時期は師匠との出張が重なる。
師匠と二人で居酒屋でも探そうと街を歩き出した。
しかし九州も大変栄えているなぁと歩きながらに思う。
街に活気がありタクシーの列ができ、平日でもスーツマン達が飲み歩くこの街は嫌いじゃない。
この日入った居酒屋も大変美味しく、とても満足であった。
ホテルへの帰り道、ある繁華街での交差点に、狭く、少し古びた唐揚げやがあった。
店の入り口の上に大きく、
「ひでちゃんからあげ」(仮名)
とかいてある。
師匠「ここ前からちょっと気になってた!よし入ってみよう」
スーツマン「いいですねいきましょう!」
そこはカウンターに二人が立てるスペースしかない、持ち帰りを主に営業している唐揚屋さん。
周辺の飲み屋の注文が多いらしい。
この日も電話が良くなっており、とても忙しそうだった。
店の店主はおそらくひでちゃんだろうか、見た感じ少し無愛想な店主である。
師匠「ここでは食べていけますか?」
ひでちゃん「はい、大丈夫ですよ」
唐揚を熱そうに油の中でゴロゴロと裁いているひでちゃん。
服も胸まで汗でビッショリであったが、見た目とは裏腹に笑顔が素敵だ。
おまけの一個、どうとらえるかでその後が変わる
ひでちゃんにお勧めを聞き、スパイシー唐揚5個入りと鶏皮を注文。
師匠と話しているとひでちゃんが話しに入ってきた。
ひでちゃん「出張ですか?」
スーツマン「そうです!よくわかりましたね」
ひでちゃん「話し方が違いましたので笑」
師匠「◯◯県からきたんですよ〜たまに九州には来ますが、ここのお店さん、以前から少し気になってました笑」
ひでちゃん「ありがとうございます笑」
話しがとても弾み、こちらの地元にゆかりがあるようで、野球が特に好きなことを唐揚のつまみに聞かせてもらった。
とても気に入ってもらえたのだろう、唐揚をあげながらサービスでおさらにちょこんと入れてもらった。
スーツマン「いやいやいや!そんな申し訳ないですよ〜!・・・・・」
と恐縮な姿勢しか見せられない私をよそに、師匠は
師匠「店長、ありがとうございます!メニューに書いてある瓶ビール1本ください!」
ひでちゃん「(笑いながら)あはは、そんなつもりじゃないんですよ!どうぞ食べてください!せっかく来てもらいましたし。」
師匠「いや、瓶ビールが飲みたくなってしまいまして笑」
ひでちゃん「・・・・ありがとうございます!」
わたしは恥ずかしくなった。
恐縮しながら心の中でラッキーと思っていたに違いない。
だからすかさずの言葉が出る前に、ひでちゃんの、気にしないで食べてください。という言葉を待っていたのだろう。
いろいろ考えさせられたひでちゃん唐揚を後にした、ホテルまでの帰り道。
師匠「いやぁ〜サービスしてくれたなぁ〜九州の人はほんまええ人やで」
スーツマン「いいこともあるもんですね!またひでちゃん唐揚に行きたいですね!しかし、すぐにあそこでビールをたのむ師匠、すごく勉強になりました。」
師匠「あそこで、ラッキーとおもうだけではあかんねん。なんで1個入れてくれたと思う?」
スーツマン「・・・サービスで・・・ですか?」
師匠「たぶん話して気があったよしみもあるかもしらん、でもあの唐揚は5個入りやったやろ?5個では二人で平等にたべれんやん。」
スーツマン「あっ・・・・」
師匠「入れてくれた時も、俺がスーツマンに3つ食べ!っていうてたときやったからなぁ。いろいろな事を観察する目にしてく事こそが、人に配慮し、感謝できる基本やねん。」
スーツマン「はい。気づきませんでした。」
師匠「もらったままではあかん、ビールでお返しや笑 スピードが大事や。こういう場合はあとでお返しはあかん。」
スーツマン「わたしにはその考えはなかったです。ありがとうございます!で終わっていたと思います。」
師匠「何かをもらったら、何かを返す。そうすると恩が両方にできるやろ?それが人間関係やねん。」
スーツマン「ありがとうございます。いい夜になりました。」
師匠「おれもまだまだやで。この夜にええこと教えてもらったわ。」
胸にジーンときた、ネオンがいつもより眩しい九州の夜に乾杯。
スーパースーツマンにはまだまだ程遠いが、頑張ってその頂に立ちたい。
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