SynologyのNASを宝の持ち腐れにしていた私が、クロスデバイス環境を設計した話

Synology DS220+を買ったのは数年前のことで、その後しばらく愛機FUJIFILMのX-H2でとった家族の写真の「ファイルバックアップ用」にしか使えていませんでした。

Synologyがあれば「Dockerが動く」「外出先からアクセスできる」「自分のサーバーが構築できる」と聞いてはいたものの、具体的に何をどうすればいいかイメージが全然わからず。そのままにしていた。宝の持ち腐れ、という言葉がぴったりでした。

ある日「CluadeでいまVScodeからいろんなことができるようになったけど、自宅PCだけじゃなくてポータブルPCからとか、iPhoneからとかどこからでも同じ環境で作業を続けたい」と思い立って、ちゃんと設計してみることにしました。試行錯誤の結果たどり着いた「どこに何を置くか」の設計と、その途中でぶつかった話を書きます。

この記事でわかること:SynologyのNASを「バックアップ用」から「クロスデバイス環境の中心」に変えた話。役割分担の設計・鶏と卵問題の解決策・新PC移行が30分で終わるようになった仕組みまで書きます。

スポンサーリンク

目次

やりたかったこと:Mac・iPhone・どこからでも同じ環境で作業したい

最初はVSコードでclaudeを拡張機能としてインストールして使用していましたが、いろいろネタとかログを貯めていくうちに、これはひょっとして自分のPCからじゃないとアイディアが思いついたときにすぐに作業に移れないなぁと漠然と考えてました。Obsidianと言うアプリも知ったのも、この辺からでマークダウンと言う次世代のテキストファイルのようなもので、数年前からこのアプリはあるそうなんですが、全然存在に気づきませんでした。

そこでObsidianにClaudeでいろいろアイディアややること、リストなど使っている記録などを管理させて、claudeで作られるmdファイルは全てObsidianに置き換えました。

そうすればiPhoneからインストールしてあるObsidianファイルで外出メモなどを作って、家に帰ってきたら、そのメモをパソコンから適宜最適なファイルに振り分けてと指示出せば、AIが勝手に動いてくれると言うことがしたかったです。

  • 自宅のMacで作業して、外出先のiPhoneからObsidianのノートを確認し、また外出先でのアイデアをiPhone上のObsidianにためて、自宅PCですぐ作業始めたい
  • 新しいPCに変えても、すぐに同じ環境で作業を再開したい
  • Claude Codeの設定ファイルやメモをどこからでも読める場所に置きたい
  • 自動化ツール(n8n)を常時起動したい

最初は「全部Synologyに置いて、どうきかければすむんじゃない?」と思っていました。でも、すぐに大きな落とし穴にはまりました。

「全部Synologyに置く」の致命的な欠点:鶏と卵問題

新しいPCでSynologyにアクセスするには、Tailscale(VPN)のインストールと設定が必要です。でも——

TailscaleのアカウントIDや設定情報をSynologyの中に保存していると、新PCでSynologyにアクセスできない → 設定情報が取り出せない → また詰む、という無限ループになります。

「鍵を金庫に入れたまま金庫が閉まってしまった」状態です。

これに気づいたとき「じゃあどうするんだ…」となりました。しばらく考えて出した答えは「Synologyに入るための”合鍵”だけは、別の安全な場所に置く」でした。

「合鍵」とは、設定ファイル(dotfiles)のことです。CLAUDE.md・.mcp.json・シェルの設定など、新PCで最初に必要になるファイル群。これをGitHubのprivateリポジトリに置いておくことで、新PCでも「まずGitHubから設定を取得→Tailscaleでつなぐ→Synologyにアクセス」という順番で詰まらずに進めます。

たどり着いた役割分担

試行錯誤の末、「どこに何を置くか」の役割分担がこれに落ち着きました。

置き場所何を置くかなぜここか
Synology DriveProjectsフォルダ・大容量ファイル・Docker環境容量無制限・常時起動・外出先からもアクセスできる
Synology WebDAVObsidianのVault(My brain)iPhoneのRemotely Saveと同期できる
GitHub(private)dotfiles・設定ファイル(CLAUDE.md・.mcp.jsonなど)鶏と卵問題を解決する「合鍵」置き場
Mac本体Claude Code・アプリ本体インストールし直せばいいので手元でOK

ポイントは「全部Synologyに集めない」ことと「入り口の鍵だけ別の場所に置く」の2つです。

最初はObsidianのVaultもiCloudに置いていましたが、iPhoneとMacの同期タイミングがずれることがあって信頼しきれず、SynologyのWebDAVに移行しました。その移行の話は前の記事(Obsidian移行編)に書いています。

新PCへの移行が30分で終わるようになった

この設計にしてから、新しいPCへの移行手順がこうなりました。

  1. Tailscaleをインストール(アカウントでログインするだけ・30秒)
  2. GitHubのprivate repoからdotfilesをclone(CLAUDE.md・.mcp.jsonなどを展開)
  3. Synology DriveをインストールしてProjectsフォルダをSync設定
  4. Claude Codeをインストール → 設定ファイルが揃っているので即作業再開

以前は「新PCに変えると1日仕事になる」と思っていましたが、今は30分もかかりません。Claude Codeを立ち上げた瞬間に、前のMacと同じ設定・同じVaultの状態で作業が続けられる。これが一番「設計して良かった」と感じたことです。

「宝の持ち腐れ」だったSynologyが変わったこと

役割分担を決めてから、Synologyの使い方がガラッと変わりました。今動かしているのはこのあたりです。

  • Synology Drive:MacとNASのProjectsフォルダを双方向同期
  • WebDAV Server:iPhoneのObsidianとSynologyを同期(Remotely Save経由)
  • Docker + n8n:WordPressの記事が公開されたらXに自動投稿するフローを常時起動
  • Docker + Gitea:プライベートGitサーバー(設定ファイルのバックアップ用)

「NASはバックアップ用の外付けHDDみたいなもの」と思っていた自分が、気づいたら自宅に小さなサーバーを持っている状態になっていました。

n8nやGiteaのDockerセットアップは別の記事(PART1〜3)に詳しく書いています。SynologyのDockerは権限まわりで盛大に詰まったので、その記録も全部残しています。

この設計にして気づいたこと

「どこに何を置くか」を一度ちゃんと考えると、その後の作業がシンプルになります。逆にここを考えずに進めると、鶏と卵問題に限らずいろんな場面で「あれ、どこに置いたっけ」「これ新PCに引き継げない」が起きます。

私がやった「設計」は大げさなものではありません。紙に「Mac・Synology・GitHub・iCloud、それぞれに何を置くか」を書き出しただけです。でもそれだけで「鍵の置き場所」が明確になって、詰まらなくなりました。

  • 外出先でiPhoneからObsidianのノートを読み書きできる
  • 新PCへの移行が30分で終わる
  • n8nが自宅Synologyで常時動いていて、WordPress記事公開と同時にXに投稿される
  • Claude Codeを立ち上げた瞬間に前の状態から続きができる

まとめ:クロスデバイス環境設計の3つのポイント

  • 全部1か所に集めようとしない(鶏と卵問題が起きる)
  • 「入り口の鍵」だけは別の場所に置く(GitHubのprivate repoが便利)
  • Synologyは「バックアップ置き場」ではなく「小さなサーバー」として設計する

NASを持っているのに「よくわからないからバックアップ用にしか使っていない」という方に、少しでも参考になれば。使い方を設計するだけで、同じ機材がぜんぜん違う道具になります。


次回は「SynologyのDockerにn8nを入れたら権限エラーで詰まりまくった話【PART1:起動まで】」を書きます。(4月24日公開予定)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です